Once upon a time

小さな命

日本では連休も後半に入った今週末でしたが、こちらでは普段と変わりない週末が過ぎようとしていました。 
午後になってちょっと早めに晩ご飯の下ごしらえをしていると、バン!と乱暴にドアが開いて、いつも注意しているのにまた~wと思いながら振り返った私には目もくれず、双子が2階に逃げていきました。 
構わず晩ご飯の支度を続けていると、今度は長女が入ってきました。 何かあった時、長女はすぐに顔色に出ます。 その時も顔面蒼白とまではいわなくても明らかに何かあった様子。。。

手に何か持っているようなので恐る恐る覗きに行くと、それは小鳥のヒナが顔を出している割れた卵でした。

先月軒下に吊るしてある玉シダの中に巣を作った小鳥(多分黄色いWren)がいて、それを見つけた子供達は大興奮だったのですが、巣立つまで延ばし延ばしににしていたけれど、とうとう出発が来週に決まった長期出張を控えた夫が仕方なく始めた手すり工事で大きな音をたてて、あっという間にいなくなってしまっていました。  
二日経っても親鳥は帰ってこず、残された巣の中には小さな小さな卵がひとつ。
イスに登っても巣の中まで覗けない弟たちに見せようと、あれだけダメだと言ってあったのに、長女は卵を手に取って、それをうっかり落として割ってしまったのでした。

「餌をあげたら元気になる?」

すがるようにそう言われても、羽化にはまだまだ早い長女の親指の先ほどのヒナです。  
死んでいるのかとじーっと見ていると、かすかに口が開きました。 

「ムリだよ~ こんなに小さいし鳴いてもないし…」

そうは言ったものの、他にかける言葉が浮かびません。
もう孵ることはないとわかっていた卵でしたが、自分が割ってしまって、そして中にうごめくヒナの姿を見てしまって、娘はかなりショックなようです。
(双子は「卵の中に目があった! もう卵はみたくない!!」と寝室まで逃げてました)



ずーっと昔、小学生だった私と弟の通学路の空き地でチャボが飼われていました。
私は弟と一緒に登下校時には必ず寄り道をしてパンくずをあげたりしていたのですが、ある日そのチャボがたくさんのヒヨコを連れていたのです。 
「まだ小さいからね、さわっちゃダメよ」と母からは言われていたのですが、ふわふわのヒヨコが私の手の平から餌をつつくようになった時、ガマンできなくてその小さな黄色と茶色の塊を手の平にすくい上げてしまいました。 
思ったとおり、見かけどおりのふんわりな感触で鳥肌が立つくらいゾクゾクして嬉しかったのを覚えています。 思わずもう片方の手でふたをするように包み込んで、頬っぺたまで運んで頬ずりしたり、弟とクスクス笑いながら小さなくちばしにちゅーしたりしてました。 

そして、そろそろ親鳥のところに戻そうとゆっくり手を開けた時、ヒナは私の手の平の中でぐったりして口をパクパクさせていました。 
ハッとして弟の顔を見ると、弟も心配そうに私を見ていました。 
あんなに気をつけていたつもりだったのに、たぶん強く握りすぎて圧迫してしまったのだと思います。 
大丈夫大丈夫、疲れただけだよ、地面に置けば元気になる、と自分に言い聞かせながら植木鉢のすぐ横にそっと置いたのですが、その黄色いふわふわが再び動き出すことはありませんでした。 
急に怖くなって弟をひっぱってそばに駐車してあった車の陰にしゃがんで、植木のそばの黄色い点をみつめていました。 
息を殺して、お願い、動いて!と祈るような思いで、心配した母が探しに来るまでずっとその点を見つめていました。
翌朝、学校に行く途中で弟と一緒にまたその空き地の前を通ったのですが、ちらっとみた植木のそばにはもうヒヨコはいませんでした。
(倒れてたヒヨコがいないから)「やっぱり治ったんだね!」といつものようにチャボの家族に走り寄ろうとする弟に私は「ダメ!行くよ!!」と叫んで、え~ヒヨコ見たい~とゴネる弟の手をひっぱってドンドン歩いて通り過ぎました。 

ヒヨコは死んだ。 私のせいで、死んじゃった。

その事実が身震いするくらい怖くて、それ以来チャボの飼い主の近所のおばちゃんに会っても前のように話したりはできず、空き地の前は息を止めて走って通り過ぎるようになりました。


いつの間にかそんなことがあったのも遠い記憶になって、私が中学生になった頃にはそのおばちゃんは引っ越して行って、空き地にはビルが建ちました。 
すっかり忘れていた当時の心境を、この日の娘の顔を見て思い出しました。



すっかり暖かくなってきましたが、昨日はちょっと肌寒くて小雨がパラついたりする一日でした。 
最近は態度も背丈もずいぶん大きくなってきた娘ですが、この時ばかりは小さく頼りなく見えました。 こんなこと言っても仕方ないと思いながらも、「お母さん鳥が戻ってこないと卵が壊れなくてもきっと死んじゃった赤ちゃんだからね」なんて言ってみる気の利かない母親を残して娘はまた外に出ていきました。  しばらくして窓から覗いてみると、ただ庭にぽつんと立ったまま、じーっと手の中のヒナを見つめているらしい娘の丸まった背中が見えました。  

「濡れたら風邪引くよー」
「うん。。。でもまだ時々動いてるから。 温めてたらピーピー鳴き始めるかもしれないし」

ずいぶん経ってから戻ってきた娘に、ヒナはどうだった?と聞くと、動かなくなってから玉シダの中の巣を取り出して、それと一緒に埋めてお墓を作ったと答えました。 
植木鉢のそばにヒヨコを置き去りにした私よりもスジが通っている感じがするのは、娘が当時の私よりも大きいからか、もともと彼女の方が繊細にできてるからか…。

寝る時になっても「来年もお母さん鳥はもう帰ってこないだろうね…」と悲しそうな娘に、その晩私は久しぶりに思い出したヒヨコの話をしました。
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by 4x4T | 2006-05-09 07:10 | 今日の出来事
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