Once upon a time

緑のヘビ

少し前になりますが、裏庭で草取りをしているとしゃがんでいた私のすぐ横に細長いものがにょろっと出ていました。 
目で辿っていった先には小さな頭がありました。 細長いそのヘビは芝生の色と同じくらいの緑色で、捕まえて子供達に見せようか、捕まるかな?と一瞬躊躇していたら、あっという間に茂ったアジサイの葉っぱの奥へと消えていきました。
なーんだ、行っちゃったかとそのまま草取りを続けているうちに、昔同じような緑色のヘビを見たときのことを思い出しました。

まだ小さかった弟と手を繋いで石ころでいっぱいのあぜ道を歩いていたとき、すぐ脇を流れていた用水路の中を泳いでいるヘビを見つけたのです。
蛍光色に見えるような鮮やかな緑色をしたそのヘビはうねうねと左右にカラダをうねらせながら透き通った水の上をすべるようにどんどん先に進んで、私と弟は追いつこうと歓声をあげながら走りました。  
途中にあったトンネルの中にヘビが入ってしまったので弟としゃがみ込んで覗いていると、後からついて歩いてきた母も私のすぐ横にしゃがみました。  

「ヘビ、出てくるかな?」

と、振り返った私が見たのは、思いがけず泣いている母の顔でした。 
びっくりして立ち上がった私を母は抱きしめて、母の肩越しに見たキラキラ日の光に反射する用水路の水と、母の鼻をすする音、そして抱きしめられた息苦しさを今も覚えています。 
母の肩から顔を離して「どうしたの? なんで泣いてるの?」と聞いた私に母は笑って泣いてないよと答えました。 なかなか離してもらえないその腕をすりぬけて、私はトンネルの反対側にヘビを追って行ってしまった弟の後を追いかけました。

あのあぜ道はどこだったっけ? 父や祖父母は一緒にいたっけ? 

その記憶には始まりも終わりもなく水の上を泳ぐヘビのその緑色だけが鮮明で、ずいぶん長い間私の脳裏に焼きついていました。




母から電話があった時ふと思い出して、その話をしてみました。 
泣いていたことじゃなくって、あの時見たヘビのことを。
ヘビに遭遇したことなどそう何度もなかったので、母もその日のことを私よりもよく覚えていました。

ああ、そうだったわね。 よくそんな小さなときのことを覚えてるわねぇ…
あれは耳鼻科に行った日の帰り道よ。 

そして、母の話は続きます。

診察で○久(←弟)がまた泣いちゃってねぇ。。。 そしたらお母さんとあんなに約束してたのに、アナタがまた怒り出したの。 怖い受付の事務員さんに抱えられて連れて行かれたと思ったら、腕に噛み付いてまた診察室に飛び込んできたのよ。 私が必死で力ずくで押さえ込んでやっと治療が終わったんだけど、その事務員さんにこんなしつけのなってない子は初めて見たって言われてねぇ。 次の予約をしようと思ったら、今度はこの子を連れて来ないで下さいねって、アナタの目の前で言ったのよ、そのヒト。 
帰り道で涙が出てきちゃったのよねぇ。。。 アナタはそんな人の気も知らずにヘビヘビって、○久とヘビを追いかけてたわ。
母の中には私に泣き顔を見られた記憶は存在しないようでした。 
 
 

幼い頃の私はとても気性が激しくて難しい子供でした。 
弟二人合わせてもまだ足りないくらい苦労したとよく言われました(^^;
耳鼻科で起こしたような騒動も1度や2度ではありません。  
幼稚園で友達を泣かしたり怪我をさせてしまったりすることも多かったので、 祖父の日課だった降園時のお迎えにたまに母が来ると「ななちゃんにこんなことされた。」と言いあげる子供の列ができたりしたことは私も覚えています。
園庭で「あなたの子供を退園させないのならうちの子を辞めさせます!」と言われたことまであったそうですが、私にはそのことで母に怒られた記憶があまりありません。 
半分笑い話のように聞かされていた遠い昔の話でしたが、特に自分に子供ができてからの私はそっちの方が気になりました。 
どうして暴力はいけないと思い切り叱り飛ばさなかったのか、そんな乱暴な私の行く末は心配じゃなかったのかやんわり訊いたことが何度かあります。 

「だってあなたはいい子だったから。 本当は優しい子だって私はちゃんと知ってたからね。」

いつまでたっても、何度訊いても、母がすかさず返す言葉はいつもあまり変わりありませんでした。 

どんな場合でも暴力をふるうことは悪いことなのに…。 私が母だったら、当時の私が自分の子供達だったら、きっとどんな理由があったってきつく叱って暴力はいけないことだと言い続けるだろうし、今までだってそうしてきました。 母が言っていることはただ無責任に子供を溺愛する無責任な親の戯言ではないのかと、私の信念とは正反対とも取れる当時の母の心境は私にとっては想像しきれるものではなくて、戸惑いを感じたものでした。 




偶然出会った、裏庭に住むヘビが持ってきた幼い頃の思い出の中に、ちょっとだけ、初めて当時の母を心で感じることができた気がしました。 
初めて意味を成した、あの涙と幼い私を抱きしめた腕の力。



幼稚園では手がつけられないほどの暴れ者で、小学校でちょっと大人しくなっていたかと思ったら、今度は中学で反抗期。 成績が悪かったり校則違反ばっかりしていたわけではありませんでしたが、いろいろと難しい子供でした。 
そして、やっと母娘で分かり合える年齢にさしかかろうとした時には私は海の向こうにいたのです。


たくさん迷惑をかけました。 大変お世話になりました。 ありがとう。
言葉で言うのは簡単ですが。

あのヒトに私ができる親孝行ってなんだろう…
毎年そんなことを思っているうちに過ぎてしまう母の日が、また今年ももうすぐです。
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by 4x4T | 2006-05-11 08:21 | 独り言
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