Once upon a time

6月25日

2年前のこの日、私たち家族はカリフォルニアの夫の実家を訪ねていました。
ちょうど仕事でサンフランシスコに滞在中だった弟も合流して、義父の自慢のボートで近くの湖での一日を過ごしていました。

普段だったら、一番先に子供達と水に入って泳ぐ私なのですが、その日はなんとなくそんな気分じゃなくて(水も冷たかったし)、木陰のベンチに座って湖畔で水遊びをしてる子供達を眺めながらボートで出て行くところだった義父や弟に手を振っていました。

空は抜けるように青くて、ところどころに雲が浮かんでしました。 
カリフォルニアの夏はカラっとしていて気持ち良い。  
サングラスをしてくるべきだったな~と目をしかめながら、私は何日後かに会う日本の祖母のことを考えていました。

こちらでゆっくり義父とのひとときを過ごした後、私達は2年ぶりに日本に渡る予定だったのです。 
高齢で糖尿病を患っていた祖母は、蒸し暑い季節のせいか少し食欲がなくなっているということで、大事をとって入院中でした。  
もともと身体の弱かった祖母の入院はよくあることだったので、目の悪い祖母の為に夫が用意した家族アルバムのCDを病室でどうやって見せようかというのが私の悩むところでした。  

ラップトップを持ち込むか…いや、私たちが帰る時はどうせ大変だから無理しないでと言っても仮退院するんだろうな。
なら、弟のPCがあるし、大丈夫か。 写真、もっと焼いとけばよかった。。。










長女が生まれてまだ何ヶ月かの時に、私は結婚してから初めて実家を訪れました。
仕事着姿で迎えに来てくれた父の車に乗って久しぶりの実家に帰ったら、待ち構えていた祖母と母が我先にと外まで出てきました。 車の中の重いカーシートからやっと長女を抱え出して振り返ると、一番最初に身を乗り出して手を延ばした祖母は、傍で立っている母に気づいた瞬間そっとその手を引っ込めました。
厳しい時代を生き抜いてきた人間は皆そういうものなのか、私が知る祖母はいつもそんなヒトでした。

短かった実家滞在期間が後わずかになった頃、仕事を引退したはずの祖母がいつも母の代わりに仕事をしているのを見かねて、娘を祖母の腕に託しながら好きなだけ抱っこすればいいのにという風なことをつい、口にしたことがあります。

「私はななちゃんが生まれたときに、お母さんにいっぱいアナタを抱っこさせてもらったから。  今度はお母さんがおばあちゃんだからね。 おばあちゃんがいっぱい抱っこしなくてはね」

一生懸命祖母を見上げる長女のほっぺを大切そうに撫でながら祖母はそんなことを言い、私は「孫は子よりかわいいというけれど、それならひ孫はさらにもっとかわいいものなのかな~」などと、自分には未知の感情をぼんやり想像したりしていました。






カリフォルニアの明るい空の下、湖には人もまばらでピクニックにも遊泳にも申し分ない一日でした。
私はあの乾いた茶色一色の西部特有の夏の風景はあまり好きではないのですが、この湖の畔は他と違ってみずみずしい緑が生い茂っていました。
いつの間にか日が傾いて私が座っていたところが日向になったので、そろそろ私も夫や子供たちの水遊びに加わろうかと重い腰を上げたとき、ピクニックテーブルの上でブルブル震える携帯に気づいて、家でBBQパーティの支度をしてくれている義母からだと慌てて出ました。 

子供達の歓声が遠く聞こえる中、眩いばかりの6月の陽の中で知った祖母の突然の訃報は、今もそののどかな光景が鮮明に私の脳裏に焼き付いている理由なのかも知れません。

前日の夕方、お見舞いに来た母にいつものようにお礼を言って別れたその後の朝方、たった一人で静かに亡くなった祖母でした。  
その時の様子を震える声で話す受話器の向こうの母に無意識に頷きながらも、私の中に蘇る祖母に重なるのは無機質な病室のそれではなく、なぜか午後の日の光を背にして、遊ぶ子供達に目を細める、私の傍らに立たずむ祖母の姿でした。  



それから間もなくして、予定通りに日本入りした私たちを迎えたのは、たくさんの花に埋もれた額縁に入った、静かな笑顔のいつもの祖母でした。
葬儀その他もしっかり終え、もうすっかり涙も枯れてしまった母の前では絶対泣くまいと決めていたので、写真の祖母との対面は和やかなものでした。  
そして写真の中の祖母の穏やかな瞳を見つめて浮かんでくるのは、なぜかやっぱりあの日のカリフォルニアの夏の陽でした。

今年、2年ぶりに上の子供達が初めて2人だけで日本の実家を訪れています。
2人ともずい分大きくなって、祖母の手助けがなくても母だけでなんとかなるでしょう。  


それでも。

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2人は退屈すればひぃおばあちゃんが苦心して飾った壁一面の写真を見て周り、ひぃおばあちゃんが縫った浴衣を着て花火を見あげ、そして夜にはひぃおばあちゃんが作った布団に包まれて眠るのです。  



静かに。 そしてどこまでも謙虚で。  


それでも祖母が残していった大きな愛情は、いつまでも消えることがありません。
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by 4x4T | 2006-07-09 23:16 | 家族
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