Once upon a time

私の眠る場所

今日は、学校から帰った娘とちょっと離れたお店までお買い物に行ってきました。
明日出席するお誕生会に持っていくプレゼントを買いに。
目的地に着くまでの40分くらい、久しぶりに娘と2人だけで話す時間が持てました。

「お母さん、人は死んじゃったらどこに行くの?」

今までに何度も訊かれたことなので、そんなに困ることなく応えました。

「さァ、天国かな~。」 

「そうじゃなくって~、身体はどうなるかってこと」

「あ、そうか。 体の方か。 うーん。。。 お墓に埋められる場合もあるし、火葬って言って、棺ごと焼いてしまってから遺灰を骨壷に入れて。。。それから、それから。。。」



去年の祖母のお葬式には間に合わなかったし、同居だった私の祖母の母(ひぃおばあちゃんね)や祖父が亡くなったときは私はまだ中学生だったし、どちらも日本では珍しい(?)、キリスト教の式だったので、日本で多分もっと一般的な仏式(?)の細かい葬儀のしきたりの様子はよくはわかりません。  実家には、田舎ならではの大きなお墓があって、ご先祖様の骨壷はお墓の後ろ側の扉の内の、棚の上に並べられているはずです。 それ以外に、実家は毎週教会に行くようなクリスチャンの家庭なので、教会会員のお墓にも、十字架のついた小さな骨壷に分けられた遺灰を入れて納めます。  

実家の家族は、年末年始や命日には、毎回必ずお参りに行って、お掃除をしたり、お花を飾ったり。 幼かった私や弟達は、最後に墓石に水をかけるのを面白がってやっていました。 その頃元気だった祖母は、墓石に刻まれた名前を撫でながらよく話していました。

「ホラ、これがおじいちゃん。 こっちがひぃおばあちゃんよ。 おばあちゃんも死んだらここに入るのよ。」

元気だった祖母が、墓石に刻まれた名前を撫でながら、自分が生涯を終える日のことを繰り返し私たちに話す声はいつも穏やかでした。 
私はまだ生きている祖母の、彫り後が赤く塗られている名前を指でなぞりながら、自分は知らないご先祖様に対する祖母の敬愛の情みたいなものを子供ながらに感じ、いつか来る、祖母との別れを漠然と想像してみたりしたものでした。



私が結婚して間もなく、義母は乳がんで倒れ、苦しい治療にも耐え、いったんは克服したかに見えたものの1年後に再発、壮絶な闘病生活の末に亡くなりました。 義父は、その頃日本に住んでいた私たちのところに遊びに来るという、生前の義母と立てた計画を変えることなく、翌年ひとりで来日し、その際に骨壷をひとつ買って帰りました。

こちらの道路わきには、緑の芝生の上に点々と墓石がならぶセミタリーをよく見かけます。  でも義母の希望は、火葬にして、灰を綺麗な壷に入れてしばらく取っておいて欲しい、そして子供達全員が集まれた時に、自分が一番好きだった場所に一緒にピクニックに行って、その時その灰を撒いて欲しい、というささやかなものでした。  先祖に守られているとか、子孫に敬われるとか、死の儀式にはまだまだ仏教の信念が色濃く残る日本では多分一般的だと思われる観念は、こちらには存在しないようでした。 

それじゃぁ、命日や誕生日にはどこに行くの? 

聞き慣れない話に私は戸惑いを覚え、少し居心地の悪さも感じました。  

結局義母も遺灰の入った骨壷は、夫の実家の暖炉の上に置かれたまま、5年の年月が経ち、6年目の春、義母の思い出のたくさんある山の頂上に夫の3人の姉兄妹とその家族全員でピクニックに行った時、灰をそこに撒いてきました。 
少し肌寒いけど、とても綺麗に晴れ渡った春の空の下、針葉樹林で覆われた道を山頂まで登る途中に急に見えてくる小さな湖。 その畔で昼食を取った後、義父の選んだ、一番高い松の木の根元で生前の義母の思い出話をしながら灰を撒き、私はその時初めて亡くなった義母の望んだ儀式の意味が理解できたような気がして、こういうのも悪くないなと思ったりもしました。



「お母さんは、死んだらどうするの?」

「...。 そうだねー、どうしようかな。」

「日本のお墓に行くの?」

娘は日本でお墓参りをしたことがあるのです。

「えぇ、日本には行かないよ。 だってここに住んでるんだもの。」

「生きてる時はおばあちゃん(私の母)と離れてたんだから、死んだら一緒にいることにすれば?」

(う、そうくるかw) 「そしたらお父さんはどうするの? アナタはどうするの? 私がおばあちゃんのところに行っちゃって、アタナはアメリカだったら。 それでもいいの?」

ちょっとイジワルな質問を思いつくままにしてみました。

「う~ん。。。う~ん。。。。。みんな一緒の場所ができたらいいのにね。」

娘の思いはよくわかります。 そうなんだよね、みんな一緒だったらいいんだけど、なかなかそうはいかないね。 生きてる時だって難しいけど、死んでしまった身体は会いにも行けないもんね。 物理的な距離を縮めるのは、いくら精神的には繋がっている家族でも、とても困難なことだったりする。 でもね、お母さんは、もう決めてるのよ、本当は。 一番いい方法を考えついたの。 こんなに大きくなって、賢くなったアナタに教えてあげるね。 

「お母さんが死んだらさ、火葬にしてよ。 それで皆で灰を集めて、海に撒いて。」

娘は目を丸くして、大げさに驚いたような表情をしました。 ふふふ、かわいいなぁ。

「それで? それから?!」

「ん? それだけ。 それでだけでいいの。」

「......。」

娘は少しの間黙って、意図してか、それともその話題に飽きてしまったのか、全然別の話をはじめ、今日のその話題はそれっきりになってしまいました。





私とお父さんと、アナタとアナタの弟達と。 
もしこれからもご縁があるなら、私はうんと長生きして、お父さんと一緒にアナタ達が一人前の大人になるのを見届けたい。  そして、できれば大人になったアナタ達ともう少し、語り合ったりケンカしたりしながら過ごしたい。 大人になるといろいろあるから、いつまでも一緒には居られないかもしれないけれどね。 心と心は繋がっていたいと思うのよ。
そして、とうとう最期の時がきたら、今日の話を思い出して欲しい。 
これからもこんな話は何度もするかもしれないけれど。 
大好きな家族といつまでも一緒にいたいと素直に言えた、今日のアナタを思い出して欲しい。  
立派に成長した弟達と、新しくできた家族達も一緒に、風の少し強い晴れた日なんかに、私の白い灰をすくって。  今日のことを思い出しながら、海に撒いてください。  眩しい空を見上げて、穏やかな気持ちで、思い出話でもしながら。  どこまでも、日本までも続く海に漂う私を見つめて、そういえばこんなこともあったなって、思い出してもらえたら本望です。
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by 4x4T | 2005-08-27 09:11 | 今日の出来事
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